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令和2年度研修会第三講座も盛り上がりました!

雇用する側から見た発達障がいとは?

「発達障がいへの会社での対応 ~ニューロ・ダイバーシティの取り組み~」と題し、今年度最後の第三講座を11月15日(日)開催いたしました。今回もとてもとても興味深いテーマに会場定員30名ギリギリの参加申込があり、久しぶりに重量感ある研修会となりました。

 講師は歯科技工所「(有)ウィルデンタルラボ」代表取締役 小林貞則氏。ウィルデンタルラボでは発達障がいの診断がある方数名を雇用し、働きやすいように視覚支援とコミュニケーションツールを業務に取り入れられてるそうで、その実践例も分かりやすくお話頂きました。そしてご自身も発達障がいであることを公言しています。自己紹介がメチャクチャ詳しくて面白い!新潟名物の茶豆のルーツは鶴岡だだちゃ豆だったとか。

 講話では、前半は発達障がいの特性に関するお話しでとても分かりやすかったです。難しいと感じがちな脳機能の話はドラえもんの登場人物に置き換える、絵や図を用いて視覚に訴えるなどの手法で聞き手が理解しやすいように工夫が施されていました。発達障がいについて知りたいという企業関係者、教育関係者の皆さまにぜひ聞いてもらいたい内容です。小林様自身も様々な場所でお話しする機会があり、その都度「分かってもらいたい」というお気持ちで話されていると言う事でした。

 さて、講話の中におもしろい言葉が出てきました。

「ニューロ・ダイバーシティ」

皆さんはご存知でしょうか?

今回サブテーマにもなっている言葉ですが、日本語に訳すと「神経構造の多様性」という意味で、ASD(自閉症スペクトラム)やADHD(注意欠如多動性障害)といった発達障がいの人たちを含めて、多様な人材を組織として活かそうとする取り組みのことです。

(池上英子氏/ニュー・スクール大学大学院教授)

小林様はご自身の職場でこのニューロ・ダイバーシティに取り組まれ、発達障がいやその傾向にある従業員が働きやすく、そしてその人が持てる能力を発揮できる環境作りをしていました。就労支援事業所と連携し、今年度事業所経由で一人の若者を雇用したそうです。雇用の条件には自己理解と自己開示があり、面接では雇用主である小林様自身が「私は発達障がいです」と自己紹介するそうです。障害特性や対応策に対する情熱はご自身の生きづらさから産まれたもののように感じました。「何社も辞めてどこも長続きしなかった人がうちに入社してもう数年経っている。活躍してくれる価値のある存在だ」と話す一方で「発達障がいのある人は苦手なことがあっても周りに言えず無理してしまう一面もある。だから社長である自分が率先して”△△できないんだよね”と話すようにしている。」と言います。自身の障害が分かったのはここ数年のこと。障害という現実を受け入れるまでにはずいぶん時間を要し、その間にたくさんの失敗があり苦しい想いをしてきた経験があるからこそ一言一言に現実味があり重みがあるのですね。

 職場で取り組むニューロ・ダイバーシティに活用されているのは「(株)おめめどう」さんのコミュメモなどの視覚支援ツールです。インターネットが普及して知っている方もずいぶん増えてきました。ご存じない方は一度HPなどを覗いてみてください。

(株)おめめどう (ocnk.net)

 講話の後は就労支援事業所いちほ所長 茂木奈緒さんと対話形式で、小林さんと事業所が繋がったきっかけや利用者さんが雇用に繋がった時のエピソードなどをお話頂きました。お二人ともに、発達障がいがありながらも日々の生活を豊かに送る為にここに必要なものは何か?ということを考え、支援に活かしているのが印象強かったです。このような取り組みや支援がこの庄内にもっともっと増えて行けば発達障害児、者にとってより住みよい地域になるのではないかと思いました。

 今年度の3回の研修会を終え、今、庄内地域に足りない”3つのもの”が見えてきました。

1.思春期以降の発達障がい児者相談支援(窓口)

2.障害者手帳非該当者、グレーゾーンの就労支援(機関・事業所)

3.地域の事業主、雇用主の正しい障害理解と対応力の獲得(啓発)

そして私たち保護者が心掛けていかなければならないと感じるのは、発達障がい児者自身が主役の生活になるよう「伝える(伝わる)」「見通し」「選択」を取り入れ「仲間外れにしない」いわゆる「本人を真ん中に」という支援を、家庭ではもちろん関係機関とも連携して行っていくことです。我が子も学校の枠を越える日が刻々と近づく中で、これまでの経験から得た学びがあります。今、幼児期、学童期の渦中にある皆さんが同じ轍でぬかるまないよう、その学びを伝えるとともに、この地域に役立てていってもらいたい、そう感じた一日でした。

 

筆)naka 

ガンプラ展やったんです(*^_^*)

 実はですね、この研修会に便乗して、「ガンプラ展」やったんです。

(展示品の画像は下部に載せておきましたのでご覧ください。)

昨年、アートフォーラムで開催した「ガンダム展」を観に行った方もいらっしゃるかと思います。今年はコロナの影響で開催出来ないかもしれない、となった時に、「本人たちの舞台が減る!」と感じたんですね。だから、どうにかして開催できないか、と思いました。事前の来場者名簿提出や入館人数の制限など、この状況下で実現可能な方法はないか?悩みに悩んで出した結論が研修会とのコラボ。出展者は当アインシュタインの会会員のみへの呼び掛け。「集まるかなぁ・・・」と不安もありましたが・・・小学生から高校生までの5名が名乗りを挙げてくれました!!なんと即答です!!すご~い✨

その中には我が子もいまして、開催日までスケジュール立てて準備を進めていました。募集日に早速新しいガンプラを入手して準備してくれた子もいました。恥ずかしいと言いながらも出展するモデルを吟味してくれた子もいました。アイロンビーズ製のキャラで華を添えてくれた子もいて、みんなで作ったガンプラ展になりました。出展当日の準備では厳選したガンプラを自分の手で飾りながら話が止まらなくなる子どもたち。「主役になる」って暮らしにメリハリが出て本人自身が輝くってことですね。

 研修会に参加してくださった方々や同じ会場に来ていたよその方もみんな見ていかれましたよ。その中のお一人が「帰ったら、家にしまってあるガンプラを箱から出して見てみようかな」と話されていたそうです。子どもの力が大人の心を揺さぶった瞬間ですよね。その賑わう様子を子どもたちに見せられなくて残念でしたが、結果よりも経過。君たちには達成する力がある。人の心を揺さぶるものを持っているんだよ。と伝えたいです。やって良かったな、って本当に思いました。

 私たち保護者が想うのはいつも子どもの幸せ、願うのは子どもの笑顔です。子も親もいろんな壁にぶつかり、その度に頭を抱えてもがく日々ではありますが、今回のように笑顔のきっかけを作ることもできるんですね。準備期間、誰よりも楽しんでいたのは私たちでした。笑顔のきっかけを作るどころか笑顔になるきっかけを逆にもらったんですね。

やはり、笑ってなんぼです。しんどいことがあってもみんなで手を取り合って笑顔で子育てしていきましょう(*^-^*)

 

筆)naka